4. 知覚心理学と絵画芸術の接点
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4-1. 奥行き知覚と恒常現象
絵画的手がかりは経験によって学習される(手がかりの種類によっては非常に早期に発達するのでほとんど生得的なものと捉える場合もある) 恒常現象:網膜像の変化に依存せずに現実の世界を安定したものとしてトップダウン的に再構成する心的な働き 4-2. 子供の絵はなぜ面白いのか
人の乳児は生後かなり早い時期から運動視差による奥行き手がかりを利用できるようになり、大きさや形の恒常性も大人と同じように働くようになるとされる。
物体同士の重なりの利用:5ヶ月くらい
陰影による手がかり:7ヶ月くらい
子供の絵は内的世界がそのまま表出される性質がある
分かち描き:一体化していたり隠れたりしている要素をバラバラに分解して描く 目で見た対象ではなく、実際に自分が知っている存在を描く傾向がある
知的写実主義傾向は幼児期〜8歳頃まで
遠近法的な絵画表現の学習と社会性が獲得されていく発達過程
4-3. 絵画の歴史と遠近法の発見
古代エジプト壁画:対象の重なり、遠くのものは上に積み上げていく。大きさの恒常度が非常に高く保たれている。 見た通りに忠実に描けば線遠近法的な表現になるわけではない
人の自然な知覚は恒常性に従っており、網膜像に忠実な線遠近法は個人の発達においては学習される必要があり、また歴史的にも発見される必要があった。
3次元の立体が二次元に投影されるとこう見えるはずだという幾何学的な計算
しかし、19世紀に写真技術が普及しリアルな視覚表現が実現されてしまった
そのため、絵画表現は人間的で自然な知覚にこそ求められるようになった
ルネッサンス的写実絵画から近代絵画への橋渡し
写実的な表現は強く否定され、色や形は芸術家の内的な感覚の表現であることが重視された。ex. パブロ・ピカソ 「美術は恒常的なものの追求であり、その過程において画家は多くのものを捨て去り、本質的なものを追求していくので、美術は視覚脳の機能の延長に当たる」